大事なのは関係性を意識したコミュニケーション

私たちは普段の生活で、あいさつや会話によって存在を認め合い、信頼関係を築いています。しかし看護ケアにおいて、病気によりコミュニケーションが難しくなってしまった患者に対し、関係性を深めることをあきらめてしまう場合があります。そうなれば、看護ケアの意識は患者の体調確認や入浴・排泄・食事の介助といった具体的なサポート行為ばかりに向きがちです。これでは患者とのコミュニケーションが上手くとれなくなってしまいます。看護ケアは患者中心で行うものです。患者自身を尊重すればよいという考え方もありますが、まずは看護ケアを行う人と患者との関係性に意識を向けることがとても大切になるでしょう。

もし関係性が喪失すれば、ケア自体が困難になってしまいます。たとえば、患者が看護ケアに対して非協力的であったり、暴言を吐いたり暴力を振るったりするのは、良い関係性を築かずに看護ケアを行おうとするからです。何をしよう、してあげようではなく、まずはいい関係をつくろうとすることから始める必要があります。患者との関係性を構築するためには、目を合わせて静かに話し掛け、優しく触れるようにしましょう。あいさつをしたり、会話を楽しむことも忘れてはいけません。また、看護ケアを行う前には患者に必ず同意を得て、患者自身を高く評価するようにしましょう。

こういったコミュニケーションを欠かさなければ、看護ケアを行う人と患者との関係性も良好になるはずです。それがきっと円滑な看護ケアにつながり、互いに気持ちよく過ごせるようになるでしょう。