医療の現場では患者とのコミュニケーションの取り方が常に大きな課題になっていると言えるでしょう。特に看護師は医療従事者の中でもっとも患者と接する機会が多く、患者の側も看護師を身近な存在と感じています。そのため、家族と同様の親しみを感じることも珍しくありませんが、その一方で看護師は医療のプロであり、あくまでも看護を行う第三者であることを忘れてはいけません。
患者の多くは自身の体調不良に不安や焦り、苛立ちなどを感じているので感情的な言動を取ることもあります。あまりにも乱暴な場合は論外ですが、一時的な感情のたかぶりによる高圧的な物言いなど軽度なものであれば軽く受け流すくらいの器量を持って接することが大切と言えるでしょう。
体の具合が悪いことに不安を感じ、落ち込んでしまう患者も少なくありませんが安易な慰めは厳禁です。家族や友人が言うならともかく、医療従事者である看護師が楽観的な態度で慰めるのは無責任な行為であり、かえって患者を傷つけてしまう可能性も否定できません。治療に前向きになる様に励ますのはいいことですが、その場限りの安易な慰めと混同しないように注意しましょう。
その一方で患者に対して冷淡な態度を取るのも良くありません。看護師の側からコミュニケーションを拒絶しているように思われてしまい、患者が心を開かなくなってしまいます。軽薄な物言いで患者を惑わすようなことを言ってはいけないのは当然ですが、人としての温もりを持って接することを忘れてはいけません。